2025.03.25

【メトロミニッツ増刊号】人事部対談 - 人事から始まる 会社の「笑顔 」

働くっておもしろいthumbnail

採用から管理まで、部署や年齢の垣根を超えてすべての社員とかかわる人事は〝笑顔の立役者〟とも言える存在。
働き方が変わりゆく今、笑顔をどうやって作るのか?
システムと建物、異なる〝もの〟を作る2社の人事に聞きました。



image
日鉄ソリューションズ株式会社
人事本部 人事企画部長 本堂 直浩さん

「日本製鉄株式会社」の子会社であり、システムインテグレーター。対企業向けに情報システムのコンサルティングや開発を手がける。連結社員数は約8000 名、うち約8割をシステムエンジニアが占める。

以下、緑で記載

image
株式会社九電工
人事労務部長 下村 晋二さん

福岡に本社を置く総合設備工事会社。九州を中心に首都圏へ展開、大規模施設の電気・空調衛生・情報通信などの設備工事を手がける。社員数は約6500 名、うち約7割が現場で働く技術職社員。

以下、青で記載
無料相談はこちら

社員の働きやすさを支援!

スターツが企業不動産の課題を解決

無料相談はこちらから



残業ができなくなって「働き方」はどう変わった?

下村: 今日はよろしくお願いします。
いきなりですが、当社は19時になるとすべてのシステムが落ちてしまうので、後ほど一時的に回線が切れます。
ご了承ください。
(※対談は18時半からオンラインで行いました)。




本堂: それはつまり「19時以降は残業しないでね」ということですよね?




下村:その通りです。
建設業界にはちょうど昨年から働き方改革推進法による労働時間の上限規制が適用され、
当社も今、新たなルールを導入し始めたところです。




本堂: IT業界も同じで、数年前に比べて働き方が大きく変わっています。
トラブル対応がつきものである仕事柄、ひと昔前は長時間労働が当たり前。
私が若い頃は午前0時を回るくらいまでは平気で働いていましたが、
今では残業時間も1日30分から1時間程度と平均的な水準になりました。




下村:まさに今、その対応に難しさを感じています。
当社が担当するのは、建設工事において工期の終盤に集中する設備工事なので、
工事が遅れれば結果としてしわ寄せを受けやすい立場にあります。
その中で、現場で働く技術職社員の労務環境をどう守るかが課題です。

ただ、今は社会全体で働き方を見直そうとする風潮があるので、施主やゼネコンといったお客様に対しても
主張やお願いはしやすくなっていると感じます。
複数の企業がかかわる建設現場では、働く環境は1社でなく、全体で見直していくべきであり、
働き方改革の取り組みがその機会になればと願っています。




本堂: 九電工さんも当社も、専門職の社員が多く、お客様の期待以上のものを提供したいという気持ちから、
仕事を無限に突き詰めてしまいがちなところに難しさがありますね。
働き方改革が始まり、当社ではまず「無計画に業務をするのはやめよう」と社内に呼びかけました。

ITの仕事は、時間をかけようと思えばいくらでもかけられ、ついオーバークオリティになりがちです。
だからこそ、けじめをつけようと。
個々の案件にかかる時間を精査して正確なスケジュールを立てたり、長時間にわたる会議を見直したりと、
業務の地道な改善を重ねています。




full

現場の社員と人事の距離はどうすれば縮められる?

下村: 当社でも、技術職の社員はやはり品質へのこだわりが強い方が多く、極めすぎる印象はあります。
それに対して私たちがいくら声を上げても「人事は現場のことをわかってないんだから」と言われてしまうことも。
働き方改革によって、労働時間の上限規制などの具体的なルールが課された今、
これからは社内での相互理解をいかに深め、連携していけるかが鍵になると感じています。



本堂:現場と人事との対立はありますよね。
そんなとき私は、自分たちの仕事は現場の足かせになるものではなく「ビジネスを前に進めるための仕事」なんだと伝えています。
つまり、めざすところは皆同じだということです。

そこを現場に理解してもらうためには、ただ「NO」を押し付けるのではなく、
現場の考えを聞きながらルールを調整するなど、私たちにも柔軟な対応が求められます。
そうやって対話を重ねていくことで、現場社員との距離をさらに縮めていきたいです。




下村: 当社の人事の仕事も、今までは法律に則した労務管理や、会社の規定に沿った人事申請内容のチェックなど、
ルールに基づく管理業務がメインにありましたが、
これからは適材適所の配置や要員管理といった戦略的な人事施策を提案するなど、
一歩踏み込んだ仕事をしていきたいと考えています。
人事という仕事にも、より自主性が求められてきていると感じますね。



これからの採用基準は経験よりも「やる気」

本堂:社員の自主性は、ひとつのキーワードですね。
人的資本経営が謳われる中で、当社ではここ数年、採用においてもより自主性のある人材を求める方向にシフトしています。

これまでは、お客様からのリクエストを、コストやスケジュールを守りながら正確に作れる人材を求めていました。
対してこれからは、お客様が抱える課題を見つけ、解決策を提案できるような人材が求められていると。
会社としても、そういうスタンスでないと成長できない時代になってきていると感じます。
その一環として、これまでは情報系の学部出身の人材をメインに採ってきましたが、
違う学部からの採用も視野に入れ始めています。




下村:当社も今まで技術職には理系の人材を採用していましたが、数年前から文系の学生にも門戸を広げています。
当初は不安がありましたが、元々入社後の研修や教育にはしっかり時間を割いているので、
今のところ問題なく人材が育っています。
学生時代の数年の経験から選ぶよりも、大事なのはその後、いかに工夫して教育し、
本人のやる気を引き出していくかの方が大事だと実感しています。




社員をつなぎとめるのは「働きがいのある仕事」

本堂:採用と同じく離職に関しても課題があります。
辛いのは、ある程度経験を積んできた中堅社員の離職です。

長年人事をやってきて、辞める原因の多くは「働きがい」を感じられる仕事があるかどうかだと感じます。

福利厚生や給与などの待遇も重要ですが、それは働くベースにあるもの。
そのうえで本人がめざすキャリアに合う仕事を会社がアサインできていて、満足感を得られているかが肝です。
そこを実現するためには、やはり社員1人ひとりと対話をする機会が必要。
多様な社員が持つ、多様なビジョンに寄り添う姿勢が求められています。




福利厚生も、多様性に合わせてチューニングが必要?

下村:同様に福利厚生に対しても、多様な対応が求められていますね。
例えば、社員寮の住環境についてもそのことを感じますが、
当社では昔から、寮と言えば浴場や食堂、水回りは共用であることが前提でした。
けれど今はそれを嫌がる声もあって、改変の必要を感じています。

他者とかかわるのが好きな社員もいれば、それがストレスになる社員もいる。
必要なのは、福利厚生も多様性に合わせて「選択できる」ことなのかもしれません。
少なくとも自室にシャワー室があれば、社員にとってより過ごしやすい社員寮になるのかもしれませんね。




本堂:当社でも新入社員は皆、希望があれば社員寮へ入寮することができますが、
やはり施設を定期的に見直す必要性は感じています。
気持ちよく仕事をするためには、会社だけでなく住んでいる場所が快適であることが大事です。
古い建物よりは新築の方がいいですし、例えば電子キーでドアが開けられたり、ネット環境が充実していたり、
現代に合わせたアップデートは求められていますね。




full

社員が笑顔でいるために必要なことってなんだろう?

本堂:先ほどの働きがいの話につながりますが、やはり「いい仕事」 ができることが笑顔につながると感じます。
誰かにありがとうと言われ、自分も達成感を味わえる仕事があること。

働き方改革により、業務にかける工数や時間がより一層限られていく中で、そうした満足感のある仕事をいかに与えていくか。
現場のマネジメント層であり、各部の上司がより向き合っていくべき課題です。
それから、のびのびと働くという意味では、多様な社員の採用に力を入れつつ、今いる社員の多様性を引き出すことも大事です。

当社では今、オンラインの学習プラットフォームを社員に配布して、社員が興味を持ったことを自由に学べる機会を提供しています。
同じ社員教育ではどうしても画一的なアウトプットになってしまうので、それ以外に興味関心を持つ機会も作りたいと。
それが結果、仕事の幅を広げることにもつながれば理想的ですね。




下村:今日お話をして、社員の笑顔はもちろんですが、まずは人事部員の笑顔を増やしていきたいと思いました。
人的資本経営という言葉が浸透して以来、人事の仕事に求められるレベルは上がり、会社からの期待は増しています。
ハードワークが続きプレッシャーはありますが、だからこそやりがいがあっておもしろいと、こうして改めて他社の人事の方とお話をすると感じます。

今後、社内における人事のプレゼンスをより一層高めていくために、自分たちの仕事について積極的に発信しつつ、
部員のモチベーションを高め、人事の仕事がしたいという社員を増やしたい。
私たちが活き活きと働くことで、社内にも少しずつ笑顔の輪が広がっていくと信じています。



メトロミニッツ2025年3月1日発行 増刊号 特集「サラリーマンっておもしろい Vol.2」より転載


Text:KAORUKO SEYA(インスタグラム:@kaorukoseya
Illustration:YURI FURUSAWA





無料相談はこちら

社員の働きやすさを支援!

スターツが企業不動産の課題を解決

無料相談はこちらから

Scroll

  • カテゴリ:

  • 働くっておもしろい

Search

まずは、お気軽に今のお困りごとを
お聞かせください。

スターツコーポレートサービスでは寮・社宅に関するどんな小さなお悩みでもお受けします。
長年培った寮・社宅業務のノウハウを駆使して、法人様に合った解決方法をご提案しますので、まずはご相談ください。

お問合せ・ご相談はこちら
Follow Banner