セールアンドリースバックの有効性とは?

Contents
セールアンドリースバックの仕組み

【セールアンドリースバック】は賃貸借契約付き売却のことで、不動産そのものは売却しながら、
売却先と賃貸借契約を結び、そのまま不動産を活⽤できる仕組みです。
近年、コロナ化の影響でライフスタイルが変化したことから、
企業はテレワーク導入に合わせて、自社ビルにセールスアンドリーズバックの仕組みを適応させることで賃貸として利用し、
コスト面を大きく軽減させる動きがみられます。
●セールアンドリースバックが注目される背景
現代の企業経営において、固定資産の流動化は重要な課題の一つです。
特に、不動産や設備に多額の資金を投じている場合、資金効率の低下や運転資金の不足が課題となります。
S&LBを活用することで、資産を現金化しながら必要な施設や設備の使用を継続でき、資金の流動性を高めることが可能です。
また、企業は貸借対照表上の資産構造を見直すことができ、財務状況の健全化や投資効率の改善にもつなげられます。
●契約の基本構造
S&LBの契約は大きく分けて二つのプロセスで構成されます。
まず、企業が保有する資産を第三者に売却し、売却代金を受け取ります。
次に、同じ資産を売却先から賃借し、使用料を支払うことで業務利用を継続します。
このプロセスにより、所有権は移転するものの、使用権は保持されるため、資産の機能を損なうことなく資金調達が可能です。
契約期間や賃料の設定は、資産の種類や企業の財務状況に応じて柔軟に調整されます。
●利用上の留意点
S&LBを活用する際には、資産評価や契約条件の設定が重要です。
資産の売却価格は市場価値に基づくため、適正な評価を行うことが求められます。
また、賃貸契約の条件や賃料水準は、企業のキャッシュフローや将来的な資金計画に影響を与えるため
慎重に検討する必要があります。
さらに、会計上の取り扱いや税務面での影響も確認しておくことが、財務健全性を維持するうえで欠かせません。
セールアンドリースバックが企業にもたらすメリット

セールアンドリースバックの活用は企業によっては、非常に大きな利益を生むことが可能です。
コスト削減や経営の改善化など、企業にもたらすメリットは多岐にわたります。
自社の資産をすぐに現金に換えることができる
セールアンドリースバックを活用することで自社の資産の売却が可能なため、
借入をせずに、様々な使途で利用できる資金調達が可能です。
リース料(賃料)を支払ってそのままオフィスなどの不動産を利用することが可能であり、
業務体系や就業場所の変化も特にないため、これまで通り事業継続ができるという
セールアンドリースバックならではの特徴もあります。
コストの均一化
不動産を所有していれば固定資産税や建物の管理費用、保険料など不動産を所有する上で多くのコストが発生しますが、
セールアンドリースバックを利用することでそれらが毎月一定のリース料に代わるため、
月々の支払いを一定にすることができます。
また煩雑な不動産管理業務が必要なくなるので、専門の人員を抱えていた場合
そのリソースを本業に配分することが可能です。
リスク管理の観点からの活用
リスク管理の面でも、セール アンド リース バックは有効です。
不動産市場の変動リスクや金利上昇リスクを分散させることができ、売却によって得た資金を事業資金や運転資金に充てることで、
不測の事態への備えがしやすくなります。
契約条件の柔軟性
近年では、企業のニーズに応じて契約条件を柔軟に設計できるようになっています。
賃料の設定や契約期間、更新条件などを企業の状況に合わせて調整可能で、資金効率と業務継続性の両立が可能です。
このような特徴から、企業戦略の一環として不動産活用を検討する際には、セール アンド リース バックが重要な選択肢となります。
セールアンドリースバックを利用する上で考慮すべきデメリット

自社資産を現金に変換できることや、コストの削減など、セールアンドリースバックが企業にもたらすメリットは多くありますが、
その反面いくつか注意しなければならないデメリットを抱えていることも事実です。
セールアンドリースバックを上手く活用するためには、それらのデメリットをきちんと理解する必要があります。
通常の売却を行った方が得られる資金が多くなることがある
セールアンドリースバックを活用して不動産を売却すると、売却額が市場相場よりも低くなる可能性があります。
継続して利用し続ける必然性がない場合は、セールアンドリースバックだけでなく、
通常の不動産売買も視野に入れることをお勧めします。
物件の改修に制限がかかってしまう
セールアンドリースバックで売却した不動産は賃貸借契約で利用することになるので、
改修や建て替えなど、オーナーの許可なしにはできなくなってしまいます。
引き続き使用できるからと言って、従来の自社オフィスのように業務形態の変化に合わせて、
オフィスを自由にカスタマイズできなくなる点には十分注意が必要です。
長期間のリース契約は契約内容によっては損になることもある
セールアンドリースバック契約は一見、資産を確保しつつ経営をスリムにできる制度に見えますが、
売却価格が安くなる一方でリース料金を高く設定する場合も多くあるので、
基本的にセールアンドリースバックで不動産を長期的に利用するのはデメリットになる可能性があります。
セールアンドリースバックを検討する際に押さえたい視点

セールアンドリースバックは、保有する不動産を売却したあとも賃借してそのまま利用できる仕組みです。
資金調達やバランスシート改善を目的に活用されることが多いものの、
導入を検討する際には複数の観点から総合的に判断することが求められます。
単に現金化のスピードだけに注目すると、将来的なコスト増や運用の柔軟性に影響が出る可能性もあるため、
事前に整理しておきたいポイントを確認しておきましょう。
契約期間と更新条件の慎重な確認
リース契約の期間や更新条件は、事業計画の柔軟性に直結します。
短期的な資金需要に対応するだけでなく、中長期的な利用方針を見据えて契約条件を設定することが重要です。
更新時の賃料見直し条項や解約条件についても事前に把握し、予算計画に反映しておくことで、
想定外の負担を避けることができます。
資金調達以外の効果とリスク
セールアンドリースバックは即時の資金化だけでなく、固定資産を流動化することで財務指標を改善できる点も特徴です。
一方で、売却によって資産が手元から離れることは、将来的な資産価値の上昇機会を放棄することでもあります。
自社の事業戦略や将来の不動産活用計画を踏まえ、資金調達効果と機会損失のバランスを見極めることが欠かせません。
会計・税務面での事前調整
取引の会計処理や税務上の取り扱いは、決算やキャッシュフローに直接影響します。
賃料の損金算入や売却益の扱いなど、会計基準や税法上の要件を確認し、最適なスキームを設計する必要があります。
専門家と連携して、短期的な資金確保だけでなく長期的な財務安定を目指す視点が求められます。
他の資金調達手段との比較
金融機関からの借入や社債発行、クラウドファンディングなど、企業が利用できる資金調達手段は多様です。
セールアンドリースバックは資産を手放さず利用を継続できる点が特長ですが、
賃料負担や将来の再取得コストといった側面も比較対象になります。
複数の手段を並行して検討することで、自社に最適な資金調達戦略を策定できます。
企業特性によってセールアンドリースバックの価値は大きく変わる

セールアンドリースバックにはメリットだけでなく、デメリットも確かに存在しているため、
どの企業も上手く活用できるとは限りません。
ただ上手く活用できる企業、活用できない企業にはそれぞれ傾向があるので、
自身の企業の特性をしっかりと把握することが大切になります。
セールアンドリースバックの活用事例

セールアンドリースバックの仕組みを使うことで、企業は保有資産を流動化しながらも、
事業の運営に影響を与えないようにしています。
ここでは、この手法の一般的な活用事例を解説しつつ、企業がどのようにこの方法を利用しているかを説明します。
資金調達を迅速に行いたい場合
セールアンドリースバックは、企業が短期間で大きな資金を調達するための効果的な手段です。
不動産を保有していると、資金が固定され流動性が低くなりますが、
この方法を使うことで、保有資産を即座に現金化できます。
これにより、新たな設備投資や事業拡大の資金を手に入れたい企業にとって、迅速な資金調達が可能となります。
例えば、企業が新規事業に参入するための初期資金を必要としている場合、
セールアンドリースバックは有効な手段となります。
売却によって手に入れた資金をそのまま新規プロジェクトに投資しながら、
引き続き現状のオフィスや工場を使用できるため、事業の継続性を保つことができます。
経営資源の最適化
企業が成長する過程で、保有資産の最適化を考えることがあります。
セールアンドリースバックを活用することで、不動産を売却し、現金を得た後もその不動産を利用し続けることができるため、
資産の再配置や効率化を図ることができます。
これにより、余剰資産を手放しつつ、必要なリソースを効果的に活用することが可能となります。
例えば、拠点を見直したいが、新たな設備投資を行うための資金が必要な場合、
セールアンドリースバックによって資産を売却し、その資金で最新の設備を導入することができます。
これにより、資産を流動化しながらも、業務の効率化を進められます。
財務健全性の向上
セールアンドリースバックは、企業のバランスシートを改善するための手段としても活用されます。
不動産を売却し、その資産を現金化することで、資産と負債のバランスを整え、財務の健全性を向上させることができます。
特に、財務状況を改善することで、信用力が高まり、将来的な借り入れや資金調達の条件が良くなる可能性があります。
この方法は、資産の流動化と同時に、長期的なリース契約による支出の予測も容易になるため、
計画的な財務管理が可能です。
ただし、リース契約による支払いは長期的に続くため、その契約内容を十分に検討することが求められます。
長期的な支払いコストの管理
セールアンドリースバックは短期間で資金を得られる一方で、長期的なリース契約によるコスト管理が必要です。
売却後はその不動産を賃貸する形になるため、月々のリース料が発生します。
リース料の支払いが長期間にわたる場合、支出が累積していくため、
総コストを把握し、収支計画に反映させることが重要です。
契約によっては、リース料金の上昇や物件の改修に制約がかかる可能性もあるため、
企業は事前にリース契約の内容を慎重に確認する必要があります。
適切なリース条件を確保することで、企業はリース料金を予測し、長期的な経営計画を立てることができます。
セールアンドリースバックは、資産を現金化しつつ、企業が柔軟に事業を運営できる手段として、
多くの企業に採用されています。
しかし、リース契約による長期的なコスト管理や契約内容の見極めが重要です。
適切な判断と準備をもって、この方法を活用することで、企業は資金調達と経営の安定を両立することができます。
まとめ

この記事ではセールアンドリースバックの概要やメリット・デメリット、
さらには活用するのに向いている企業特性についてご説明してきました。
セールアンドリースバックを有効的に使うことができれば、ビジネスの選択肢の幅広がるかと思いますが
どういった顧客に売却するか、その後どういった契約を締結するかには専門的な知識が必要になります。
ぜひセールアンドリースバックを検討しているけど、
通常の不動産売却とどちらがいいかわからないといったお悩みがある企業様がいましたら、気軽にお問い合わせください。
Operating Company
- 執筆者
-
スターツコーポレートサービス株式会社 COPPO!編集部
当社の特徴-
①法人さまごとの専任体制でお客様の課題をワンストップで解決
②社宅代行約450社・約13万件、継続25年以上、寮・社宅のプロ
③80社を超えるグループ会社と国内約3000社の提携不動産会社、
海外では21カ国・30拠点以上の日経不動産会社最大級のネットワーク
法人向け不動産サービスを中心に、スターツグループのコンテンツと
独自のネットワークを最大限活用し、様々な経営課題を共に解決します
当社のサービス:社宅代行・社員寮紹介、オフィス移転、不動産売買
-
カテゴリ:
- 企業不動産戦略
-
タグ:
まずは、お気軽に今のお困りごとを
お聞かせください。
スターツコーポレートサービスでは寮・社宅に関するどんな小さなお悩みでもお受けします。
長年培った寮・社宅業務のノウハウを駆使して、法人様に合った解決方法をご提案しますので、まずはご相談ください。