福利厚生とは?種類やメリット・デメリットを紹介

福利厚生は企業が従業員とその家族に提供する報酬やサービスの一環です。
導入することで、企業と従業員の双方にさまざまなメリットがもたらされます。
その一方、注意すべき点も存在します。
この記事では、具体的な事例を交えながら、福利厚生の種類や導入のメリット、さらに注意点について解説します。
Contents
福利厚生とは?

福利厚生とは、企業が従業員とその家族に報酬やサービスを提供する制度のことです。
具体的には、各種手当や退職金などの金銭的な支援や、休暇、社宅、教育支援などが挙げられます。
これらの制度やサービスを通じて、従業員の生活や仕事への安定感や満足度を高めることが目的とされています。
福利厚生の種類と概要

福利厚生には、法律で企業に義務付けられている「法定福利厚生」と、
企業が独自に導入できる「法定外福利厚生」の2つの種類があります。
ここでは、法定福利厚生と法廷外福利厚生それぞれの概要と主なサービス内容を解説します。
(1)法定福利厚生
法定福利厚生とは、法律で義務付けられた福利厚生のことです。
保険関連が主であり、以下の種類が挙げられます。
●健康保険
●厚生年金
●雇用保険
●労災保険
●介護保険
●子ども・子育て拠出金
上記6つの福利厚生は法律で加入が義務付けられており、「法定福利費」を納めなけれなりません。
万が一、法定福利厚生に未加入(法定福利費を支払っていない)企業は、
6月以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。
さらに、社会的信用を失うため、今後の事業運営にも大きな影響を与えます。
(2)法定外福利厚生
法定外福利厚生とは、企業が独自に導入している福利厚生のことです。
法定福利厚生と違って法律上の規則はなく、企業の判断で自由なサービスを提供できます。
以下は、代表的な法定外福利厚生です。
●各種手当
●働き方支援
●通勤関連の支援
●住宅補助
●食事補助
●休暇・レクリエーション
●子育て・介護関連の支援
●慶弔や災害支援
●自己啓発
●財政形成
●施設利用
法定外福利厚生は企業が自由にサービスを導入できるのが特徴です。
近年、法定外福利厚生の充実度は、求職者が企業を選ぶ重要な基準に位置付けられています。
そのため、時代に合わせたユニークな福利厚生を取り入れている企業が増えています。
福利厚生を導入するメリット

福利厚生は企業にさまざまなメリットをもたらします。
主なメリットは以下の通りです。
(1)従業員満足度と定着率の向上
福利厚生は、従業員の働きやすい環境と安定した生活を提供するのが目的の制度です。
従業員が求めるサービスを提供することにより、従業員満足度は向上し、定着率を高める効果が期待できます。
(2)人材の確保(採用力の強化)
近年、福利厚生は求職者の就職先企業を選ぶ重要なポイントになっています。
そのため、福利厚生を充実させることにより採用力を強化することができます。
各種手当や休暇など、ワークライフバランスに関わるサービスは人気が高く、優秀な人材の確保に効果的です。
(3)生産性の向上
リフレッシュ休暇やフレックスタイム制度など、働き方に関する支援は従業員の心身にかかる負担を減らします。
その結果、生産性は向上し、労働力不足の問題、コスト削減、ワークライフバランスの向上など、
事業運営の改善が期待できます。
(4)企業ブランドの強化
福利厚生の充実度が高い企業は、従業員や社会からの信頼と評価を得ることができます。
従業員が満足し、ワークライフバランスが実現できる環境は、企業の良い評判となり、優秀な人材が集まるのです。
企業のブランドイメージは向上し、信頼性と魅力は高まります。
福利厚生を導入するデメリット

福利厚生にはデメリットになり得る点があります。
以下のデメリットに注意して運用することが大切です。
(1)導入および維持コストがかかる
福利厚生は導入と維持する際にコストがかかります。
どのような法定外福利厚生を導入するかにもよりますが、新しく制度を導入するごとに、費用はかさんでいきます。
とくに近年、社会保険料は増加の傾向にあり、企業が支払う保険料は高くなっています。
レクリエーションや設備利用に関する福利厚生には運用コストが必要です。
(2)管理負担の増加
福利厚生を導入および運用するためには、申請や経理に関する手続きが必要です。
また、備品や設備は管理をしなければなりません。
これらは福利厚生の業務を担う総務部や労務部の業務負担になる可能性があります。
(3)サービス廃止の難しさ
一度導入した福利厚生は、廃止が難しい傾向があります。
福利厚生の廃止は従業員にとってのサービスダウンであり、
モチベーションや企業に対する信頼の低下につながる恐れがあります。
そのため、福利厚生を導入する際は、廃止が難しいことを考慮して慎重に進めることが重要です。
また、廃止する場合は、従業員にしっかり説明し、理解を得る必要があります。
実際に導入されている福利厚生の具体例

「福利厚生」と一口に言っても、実際にどのような施策があるのかイメージしづらいという方も多いでしょう。
ここでは、法定外福利厚生を中心に、企業で実際に導入されている具体的な例をカテゴリー別に紹介します。
自社に合った制度を導入するヒントとして、ぜひ参考にしてください。
(1)健康支援系の福利厚生
従業員の健康維持は、企業の生産性や労働意欲に直結します。
そのため、以下のような健康支援型の福利厚生が広く導入されています。
● 定期健康診断の拡充(人間ドックの補助など)
● メンタルヘルス対策(産業医面談、カウンセリング)
● フィットネスクラブ・スポーツジムの利用補助
● インフルエンザ予防接種の無料実施
これらは「働きやすい職場環境」をアピールするうえでも有効で、採用活動にも良い影響を与えます。
(2)ワークライフバランスを支援する制度
ライフステージに応じた柔軟な働き方や支援制度も、従業員の定着やモチベーション向上に効果的です。
よく導入されている例は以下の通りです。
● フレックスタイム制度やテレワーク制度
● 育児・介護休業制度の充実(時短勤務や看護休暇など)
● 有給休暇の取得促進(時間単位や連続休暇制度)
● 住宅補助、借り上げ社宅制度
特に近年は、子育て世代や介護を担う従業員への支援が企業の評価指標となっており、
ESG経営やSDGsとも連動する取り組みとして注目されています。
(3)キャリア形成・自己啓発支援
従業員のスキルアップを支援する制度も福利厚生の一環として位置づけられています。
以下のような例があります。
● 社内外の研修制度、eラーニングの導入
● 語学・資格取得支援(費用補助、報奨金など)
● 書籍購入補助や業務関連セミナー参加費支援
● 副業・社内兼業制度の導入(制度化されている企業も増加)
人材開発の視点からも、教育・学習支援の制度を整備することで、企業の成長と従業員の成長を両立させることが可能になります。
(4)その他ユニークな福利厚生の例
近年は、他社との差別化を図るために、独自性のある福利厚生を取り入れる企業も増えています。
● 社員食堂の無料開放や食事補助
● 社内マッサージや仮眠スペースの設置
● 旅行費補助、レクリエーション制度
● 結婚・出産祝い金制度、記念日休暇など
こうした制度は、従業員満足度の向上はもちろん、企業のブランディングや採用活動においても大きな武器となります。
また、独自の福利厚生はメディアで取り上げられやすく、話題性を持つことで企業イメージの向上にもつながります。
これにより、既存社員の定着率を高めると同時に、新しい人材の獲得にもつながる好循環が生まれます。
福利厚生の例を知ることは、自社の制度見直しや改善のヒントになるでしょう。
福利厚生を取り入れる際の注意点

福利厚生の円滑に導入するためには、以下の点に注意して進めることが重要です。
全従業員が満足できるサービスを提供するためにも参考にしてみてください。
(1)同一労働同一賃金を重視する
福利厚生は、正社員・契約社員・パート従業員に公平でなければなりません。
事実、パートタイム・有期雇用労働法では、
正社員と同等の業務に従事する従業員に待遇差を設けることが禁止されています。
そのため、同一労働同一賃金の規則に沿った福利厚生を導入することが必要です。
また、正社員のみ受けられる福利厚生を取り入れた場合、
非正規雇用者の不満増加や企業ブランドの低下につながる恐れがあります。
(2)従業員の意見・要望を考慮する
新たな福利厚生を導入する場合、従業員の意見やニーズを考慮することが重要です。
ニーズのないサービスを導入しても利用率は低く、無駄なコストがかかるだけの無駄な制度になる恐れがあります。
従業員にとって快適なサービスにするためにも、導入前にしっかりと意見や要望を把握することが大切です。
(3)定期的に制度の見直しや改善を行う
福利厚生は導入して終わりではありません。定期的に利用率を確認し、制度を見直すことが大切です。
それにより、サービスの利用率は向上し、従業員満足度はアップします。
また、利用率の低いサービスの廃止を可能にし、コスト削減等にも期待できます。
まとめ

福利厚生は、企業と従業員の双方にメリットをもたらす制度です。
導入する際は従業員の意見やニーズ、社会情勢を考慮し、適切なサービスを導入することが満足度の向上につながります。
この記事を参考にして、自社にとってプラスになる福利厚生の導入を目指してみてください。
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