BCPとは?わかりやすく意味や目的、策定方法を解説

あなたは、BCPという言葉を聞いたことがありますか?
BCPとは、災害などの危機的な状況における企業や団体の事業継続計画のことです。
BCPは、事業資産の損害を最小限に抑え、重要な業務を継続し早期復旧を図ることで、
企業価値や社会的信頼を維持することを目的としています。
しかし、BCPは単に災害対策ではありません。
BCPは、事業の継続に必要な戦略や計画を具体的に示すものです。
では、BCPはどのように策定するのでしょうか?
この記事では、BCPの意味や目的、策定方法をわかりやすく解説します。
Contents
BCPの意味と目的

BCPとは何か
BCPは、Business Continuity Plan(事業継続計画)の略称です。
BCPとは、自然災害やテロ、システム障害など危機的な状況に遭遇した時に、
事業資産の損害を最小限に抑え、重要な業務を継続し早期復旧を図ることが大切です。
●事業資産
事業資産とは、企業や団体が事業を行うために必要なもので、
人(従業員や顧客)、物(商品や設備)、金(売上や資金)、情報(データやノウハウ)などがあります。
これらの事業資産が危機的な状況で失われたり損傷したりすると、事業に大きな影響が出ます。
●重要な業務
重要な業務とは、危機発生時にも必ず継続しなければならない業務や、中断した場合に大きな損失や被害が生じる業務です。
例えば、医療機関の場合は救急医療や入院管理、銀行の場合は預金引き出しや送金サービスなどがあります。
これらの重要な業務を継続しなければ、顧客のニーズに応えることができません。
BCPの目的は何か
BCPの目的は、単なる防災対策と異なり、
目的を「事業の継続」に明確に置いて、具体的な行動指針を示しています。
緊急時にも事業を途切れずに継続し、途切れたとしても早期の復旧を実現できれば、顧客の信用を維持することが可能です。
株主や市場からも高評価を得て、それが企業価値の維持と向上につながり、社会的な信頼を得ることもできます。
特に日本では、2011年の東日本大震災をきっかけにBCPの重要性がますます注目されています。
内閣府では、2005年公表の「事業継続ガイドライン」でBCP策定を強く推奨しており、
2023年に改訂された最新版が公式サイトからダウンロードできます。
参考:事業継続ガイドライン(令和5年3月)
BCP策定方法

ここからBCP策定方法を「5つのSTEP」でわかりやすく解説していきます。
STEP1:BCP策定の目的設定
まず、企業や団体がどんな危機に対応するか、どんな事業を優先するか、どんなリスクを回避するかなど、
BCP策定の目的や方針を明確にします。
この段階では、経営層や関係者の合意形成が重要です。
●危機
危機とは、企業や団体にとって大きな影響を与えるような事態のことです。
例えば、地震や津波、火災や水害、テロや暴動、システム障害やサイバー攻撃などがあります。
これらの危機に対して、どのように対応するかを考えます。
●事業
事業とは、企業や団体が行っているすべての業務のことです。
例えば、製品やサービスの開発や販売、顧客対応やアフターサービス、経理や人事などがあります。
これらの事業の中から、重要度や影響度に応じて優先順位をつけます。
●リスク
リスクとは、危機が発生した場合に生じる可能性のある損失や被害のことです。
例えば、人命や財産の損失、売上や利益の減少、信用や評判の低下などがあります。
これらのリスクを回避するために、どのような対策を取るかを考えます。
STEP2:重要業務の分析
次に、企業や団体が行っているすべての業務を洗い出し、その中から重要度や影響度に応じて優先順位をつけます。
●重要業務
重要業務とは、危機発生時にも必ず継続しなければならない業務や、中断した場合に大きな損失や被害が生じる業務です。
重要業務の分析には、「ビジネスインパクト分析(BIA)」という手法がよく用いられます。
●ビジネスインパクト分析(BIA)
ビジネスインパクト分析(BIA)とは、各業務が危機発生時にどれだけ影響を受けるかを定量的に評価することです。
例えば、「最大許容停止時間(MTPD)」という指標で、各業務が停止できる最大時間を決めます。
また、「復旧優先度(RTO)」という指標で、各業務が復旧すべき順番を決めます。
これらの指標をもとに、重要業務を抽出します。
STEP3:直面する危機シナリオの想定
さらに、企業や団体が直面する可能性のある危機シナリオを想定します。
危機シナリオとは、「何が起こるか」「どんな影響があるか」「どう対処するか」などを具体的に記述したものです。
危機シナリオの想定には、「リスク分析」や「リスク評価」などの手法がよく用いられます。
●リスク分析
リスク分析とは、危機が発生する確率とその影響度を評価することです。
例えば、「地震発生確率×地震規模×地震被害」という式で、地震リスクを算出します。
また、「テロ発生確率×テロ規模×テロ被害」という式で、テロリスクを算出することができます。
これらのリスクをもとに、危機シナリオを作成しなければなりません。
●リスク評価
リスク評価とは、危機シナリオに対する対策の効果やコストを評価することです。
例えば、「対策費用×対策効果」という式で、対策の費用対効果を算出します。
また、「対策優先度=対策効果÷対策費用」という式で、対策の優先度を決めます。
これらの評価をもとに、最適な対策を選択します。
STEP4:事業継続戦略の策定
そして、重要業務を継続するために必要な人員、資材、設備、情報システムなどのリソースを確保する方法を考えます。
これが事業継続戦略です。
事業継続戦略には、「代替拠点の確保」「代替手段の導入」「代替ルートの確保」「代替サプライヤーの確保」などがあります。
●代替拠点の確保
代替拠点の確保とは、危機発生時に本社や工場などが使用できなくなった場合に、
別の場所で業務を継続することです。
例えば、他の支社や営業所、ホテルや学校などがあります。
代替拠点には、必要な設備や通信回線などが整っていることが望ましいです。
●代替手段の導入
代替手段の導入とは、危機発生時に通常使用している機器やシステムなどが使用できなくなった場合に、
別の機器やシステムなどで業務を継続することです。
例えば、電話やファックス、メールやインターネットなどがあります。
代替手段には、互換性やセキュリティなどが確保されていることが望ましいです。
●代替ルートの確保
代替ルートの確保とは、危機発生時に通常使用している交通手段や配送経路などが使用できなくなった場合に、
別の交通手段や配送経路などで業務を継続することです。
例えば、電車やバス、自動車や自転車、航空機や船舶などがあります。
代替ルートには、安全性や速度などが確保されていることが望ましいです。
●代替サプライヤーの確保
代替サプライヤーの確保とは、危機発生時に通常使用している仕入先や取引先などが使用できなくなった場合に、
別の仕入先や取引先などで業務を継続することです。
例えば、原材料や部品、製品やサービスなどがあります。
代替サプライヤーには、品質や価格などが確保されていることが望ましいです。
STEP5:事業継続計画の作成
最後に、事業継続戦略を実行するための具体的な手順や役割分担をまとめた文書を作成します。
これが事業継続計画です。
事業継続計画には、「事前準備」「初動対応」「復旧対応」「復旧後対応」などのフェーズに分けて記述します。
●事前準備
事前準備とは、危機発生前に行うべき準備のことです。
例えば、代替拠点や代替手段などの確保や契約、重要業務やリソースの洗い出しや整理、
危機管理組織や連絡体制の構築、教育や訓練などがあります。
事前準備には、定期的な見直しや更新が必要です。
●初動対応
初動対応とは、危機発生時に行うべき対応のことです。
例えば、危機の発生や規模の確認、危機管理組織や関係者への連絡、重要業務の停止や移行、人命救助や安否確認などがあります。
初動対応には、迅速かつ正確な判断と行動が必要です。
●復旧対応
復旧対応とは、危機発生後に行うべき対応のことです。
例えば、重要業務の再開や復元、事業資産の回復や再建、顧客や株主への情報提供や謝罪などがあります。
復旧対応には、段階的かつ計画的な実施と評価が必要です。
●復旧後対応
復旧後対応とは、危機発生から完全に復旧するまでに行うべき対応のことです。
例えば、危機発生原因の分析や改善策の立案、事業継続計画の見直しや改善などがあります。
復旧後対応には、反省と学習が必要です。
BCPをわかりやすくまとめると
BCP(事業継続計画)は、企業が災害や事故といった非常事態に直面した際、
重要な業務を止めることなく、できる限り早く復旧するために策定する計画です。
企業が災害時に事業を維持できるかどうかは、その後の顧客や株主、取引先からの信頼に大きく影響を与えるため、
BCPは非常に重要な役割を果たします。
まず、BCPの目的は、企業の財産である「人」「物」「金」「情報」を保護し、できる限り早く通常の業務に戻ることです。
これにより、企業は災害などのリスクからの影響を最小限に抑え、長期的な損害を避けることができます。
企業価値を維持するためにも、BCPの策定は欠かせません。
次に、BCPを策定するためには、以下のステップが必要です。
まず、どのような危機が想定されるのかを分析し、次にその危機に対してどの業務が最も重要であるかを決定します。
例えば、医療機関では救急対応が優先され、銀行では預金管理や送金システムの維持が最優先事項となります。
さらに、事業の中で特に重要な業務に必要な人材、設備、情報システムなどを確保する計画を立て、
最後にそれらの実行手順をまとめます。
実際、多くの企業がBCPを策定し、災害やシステム障害に備えています。
たとえば、日本の銀行業界では、システム障害が発生しても重要な送金や取引サービスをすぐに再開できるよう、
複数のバックアップシステムを用意しています。
また、製造業においても、主要な部品を別の地域に保管しておくことで、
災害時にも速やかに生産ラインを復旧できるような準備が進められています。
このように、事前に綿密な準備を行うことで、非常時における事業の継続性を確保しています。
さらに、BCPを策定することで、企業はさまざまなリスクに対して迅速に対応する力を持つことができます。
たとえば、地震や台風といった自然災害だけでなく、サイバー攻撃やシステム障害にも備えることができるのです。
このような多様なリスクに対して事前に対応策を考えることが、企業の信頼性を高め、将来的な成長にもつながります。
計画の実施訓練を行うことで、緊急時の対応力もさらに向上します。
まとめると、BCPは企業が非常事態に対応し、事業を継続させるための具体的な手段を提供します。
これにより、顧客や株主の信頼を守り、社会的な評価を維持することができます。
企業が安定した事業運営を続けるためには、BCPを策定し、定期的に見直すことが非常に重要です。
この記事では、BCPの意味や目的、策定方法をわかりやすく解説しました。
特に、人・物・金・情報が揃うオフィスにおけるBCPの策定は不可欠です。
ぜひこの記事と下記からダウンロードできる資料を参考にBCPについて考えてみてください。
Operating Company
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スターツコーポレートサービス株式会社 COPPO!編集部
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