2026.07.31

オフィス移転の4ステップ完全ガイド|現状調査から構築まで実務リスト付き

オフィス改善のコツthumbnail

オフィス移転は、現状の課題を洗い出し、要件を定義し、物件を選び、空間を構築するという一連の流れを、抜け漏れなく進められるかどうかで成否が決まります。
準備期間も長く、どのステップで何を判断すべきかを整理しておかないと、判断のたびに立ち止まり、スケジュールが押してしまいます。

この記事では、オフィス移転を「現状調査」「プロジェクトの立ち上げ」「要件定義・物件選定」「オフィス構築・移転」という4つのステップに分けて実務ポイントを解説します。

あわせて、多くの企業が抱える「オフィスが余っているのに足りない」という悩みの正体と、それを判断するための“適正指標”の考え方、面積の見方までを整理します。

無料オフィス診断

なぜ「席は余るのに会議室は足りない」のか

full

移転を考えるきっかけとして多いのが、「席は空いているのに会議室はいつも満室」「フロアは広いのに集中できる場所がない」という感覚的な不満です。
これは働き方の変化に空間設計が追いついていないために起こる、構造的な現象です。

リモートワークやハイブリッド勤務が浸透し、「全員が毎日出社する」前提が崩れたことで、固定席を人数分そろえる設計のままでは空席が増えます。
一方、出社の目的が「一人作業」から「対面での議論・協働」へシフトしているため、会議スペースや集中できる場所への需要は高まります。結果、余る面積と足りない機能が同じフロアに同居するのです。

この状態を判断するうえで手がかりになるのが、いくつかの“適正指標”です。
たとえば、一人当たりのワークスペースには一定の目安があり、複合機の稼働率にも適正とされる範囲があります。
また、席を固定しない働き方(フリーアドレスやグループアドレス)が機能するには、在席率が一定水準を下回っていることが条件になります。

在席率が高いのに席を固定しない運用を導入すると、「席が見つからない」という別の不満を生みます。
感覚ではなくこうした指標に照らして現状を点検することが、ミスマッチ解消の出発点になります。

ステップ1:現状調査|移転すべきかを見極める

full

最初のステップは、物件探しではなく、現状のオフィスを分析して課題を洗い出すことです。
ここでは大きく3つの作業を行います。

1つ目は、契約条件や現レイアウトの問題点の整理です。
今の賃貸借契約の契約期間、解約予告期間、違約金などを確認したうえで、設備やICTツールが働き方に合っているか、社員が高いパフォーマンスを発揮できる環境か、といった観点で現オフィスの問題を洗い出します。

2つ目は、オフィス分析です。
各スペースの面積、事業継続性の必要性、個別空調や消火設備、電源容量などの必要設備に求めるスペック、床補強や防音といった特殊構造の要否を調べ、ハード面の課題を正しく把握します。

3つ目は、これらを踏まえた意思決定です。
問題点と分析結果をもとに、専門家の意見も聞きながら、移転するのか現オフィスで継続するのかを判断します。
前述の適正指標に照らして「面積は足りているが機能配分に問題がある」と分かれば、移転ではなくレイアウト改善で解決できるケースもあります。

ステップ2:プロジェクトの立ち上げ|目的と体制を固める

full

移転を決めたら、目的を明確にして推進体制を整えます。

まず重要なのが、移転目的の明確化です。
「いつ」「どこへ」「どのように」に加えて「なぜ・何のために」まで踏み込んで定義しないと、判断基準がぶれて本来の目的を達成できません。

次に、移転時期とコストの検討です。
移転時期は現オフィスの契約更新時期に合わせるのが一般的ですが、周年や事業改革のタイミングと合わせると相乗効果も期待できます。
コストは、一時的なコスト(工事関連費、原状回復工事、什器の減価償却、不要な印刷物の処分費用など)と、ランニングコスト(賃料、空調・電気、駐車場、清掃費、警備費、設備保守費など)に分けて検討します。

そして、プロジェクトチームの設置です。
総務部門だけでなく部門を横断してメンバーを選ぶことで、様々な意見を取り込みながら推進できます。
働き方の見直しに伴い情報設備の変更が必要になることが多いため、IT・インフラ担当を加えるのがおすすめです。
メンバーの適正人数は会社規模によりますが、一定規模の会社であれば十数名が目安になります。

ステップ3:要件定義・物件選定|最適な物件を探す

full

このステップでは、まず移転先の要件を定義します。
エリア、面積、賃料、コストなどの諸条件をすべて洗い出し、必要な条件を絞り込んで優先順位とウエイトを決めます。

この移転要件が、その後の物件選定の軸になります。
コスト条件は賃料や交通費などのランニングコストだけでなく、入居工事費や移転費も含めて検討します。

次に、市況の把握と物件情報の収集です。
物件情報やオフィス市況を自社だけで網羅的に集めるのは労力がかかるため、豊富な情報を持つ専門会社に依頼するのが一般的です。

そして、現地内覧と比較検討です。
候補が挙がったら実際に現地を内覧し、図面では分からないポイントをチェックリストで漏れなく確認します。
内覧時の確認項目は、立地(利用可能な路線数、駅からの距離、通勤利便性、周辺の利便施設)、共用部(エントランス、エレベーターの台数やスピード、トイレ、給湯室、災害時の備蓄品)、設備(受電方式、非常用発電機、コンセント容量、耐震性能、床荷重)、管理(管理会社、入退館方法、防災センターの有無)、専有部(貸室の形状、天井高、空調方式、OAフロアの有無、採光や眺望)など、非常に多岐にわたります。

物件を絞り込んだら、条件交渉と契約締結へ進みます。
賃料契約開始時期、フリーレント(一定期間の賃料免除)、契約形態などを交渉し、契約書、貸方基準、館内規則、工事区分を精査します。少しでも疑問があれば専門家に相談し、移転先が決まったら現オフィスの解約手続きを行います。


補足:面積の「ネット」と「グロス」の違いに注意
物件を比較する際に意外と見落とされるのが、面積表記の違いです。
実際に借りるオフィススペースのみの面積(ネット面積)と、廊下やエレベーターホール、給湯室などの共用部を含む1フロア全体の面積(グロス面積)では、同じ数字でも使える広さがまったく異なります。
グロス面積の一部が共用部であれば、オフィスとして実際に使える面積はそれより小さくなります。
契約面積と実使用面積のギャップを理解しておくことが、レイアウト計画や坪単価の比較で失敗しないコツです。


補足:契約形態の2タイプを理解する
賃貸借契約には主に2つの形態があります。
ひとつは、借主が希望すれば更新によって同じ物件を借り続けられるタイプで、契約期間は1年以上に設定する必要があり、一定年数が一般的です。
もうひとつは、契約期間が定められ更新がなく、期間満了で終了するタイプで、契約期間の制限がなく1年未満でも有効です。
継続には再契約が必要になるため、どちらの形態かを事前に確認しておきましょう。

ステップ4:オフィス構築・移転|設計から引っ越しまで

full

移転先が決まったら、外部パートナーと協力して空間を形にしていきます。

まず、設計会社やデザイナー、施工会社、家具メーカー、ICT工事会社など、様々な分野の専門業者を選定します。
発注形態は大きく2パターンあり、自社で直接業者と契約する方法と、間にプロジェクトマネジメント会社が入って各業者との交渉・調整を代行する方法があります。
後者を選ぶ場合は、業務・責任範囲の分担を明確にしたうえで契約することが成功の鍵です。

次に、オフィスコンセプトと設計要件を定義します。
固定席か、フリーアドレスか、グループアドレスか、といったレイアウトの大きな方向性を先に決め、経営層と現場双方の声を集約して要件に落とし込みます。要件が明確なほど、設計案の評価やその後の意思決定がスムーズになります。

そして、要件に基づきレイアウトプランを作成します。
設計者には設計要件だけでなく移転の目的や方針も正確に伝え、将来の増員や組織改編に対応できる可変性の高いプランにすることが大切です。

その後、設計・調達を行います。
工事は、誰が工事会社を指定・発注し費用を負担するかによっていくつかの区分に分かれます。
ビル側が指定する工事、テナント側が発注する工事など、区分ごとに対象範囲が異なるため整理が必要です。
設計変更を減らすために、関係者への情報開示を工事着手前の適切なタイミングで行いましょう。

最後に、工事・納品・移転です。
工事や什器・備品の納品日程は移転までに余裕を持たせ、移転作業は全社員が事前準備から当日までの流れを理解できるよう、移転マニュアルを早めに作成して周知します。
新しいオフィスの運用ルール(入退室、設備や共用部の使用ルール)をまとめたマニュアルも、移転当日までに用意しておきましょう。

まとめ|4ステップで「働き方の再設計」を実現する

full

オフィス移転を成功させる鍵は、4つのステップを順序立てて進めることです。
現状を適正指標に照らして客観的に調査し、目的と体制を固め、要件に優先順位をつけて物件を選び、コンセプトに基づいて空間を構築する。この流れを、余裕を持ったスケジュールで進めていきます。

とくに、面積のネット・グロスの違いや契約形態、工事区分といった専門的な論点は、見落とすと後の負担につながります。
検討項目が膨大で専門知識も求められるため、必要に応じて専門家の力を借りることも、手戻りを防ぐ現実的な選択肢です。


これを機に職場環境について見直してみてはいかがでしょうか。
当社では移転のコンセプト企画からお手伝いさせていただきますので、お気軽にご相談ください。




Operating Company



 無料相談はこちら
執筆者
スターツコーポレートサービス株式会社 COPPO!編集部

当社の特徴

①法人さまごとの専任体制でお客様の課題をワンストップで解決
②社宅代行約450社・約13万件、継続25年以上、寮・社宅のプロ
③80社を超えるグループ会社と国内約3000社の提携不動産会社、
 海外では21カ国・30拠点以上の日経不動産会社最大級のネットワーク


法人向け不動産サービスを中心に、スターツグループのコンテンツと
独自のネットワークを最大限活用し、様々な経営課題を共に解決します

当社のサービス:社宅代行・社員寮紹介、オフィス移転、不動産売買




無料オフィス診断



Scroll
  • カテゴリ:

  • オフィス改善のコツ

まずは、お気軽に今のお困りごとを
お聞かせください。

スターツコーポレートサービスでは寮・社宅に関するどんな小さなお悩みでもお受けします。
長年培った寮・社宅業務のノウハウを駆使して、法人様に合った解決方法をご提案しますので、まずはご相談ください。

お問合せ・ご相談はこちら