オフィス移転ガイド|各種手続き&届け出、注意点について
オフィス移転は今後の事業運営に関わる一大プロジェクトです。
しかし、オフィス移転は各方面へさまざまな手続きを行わなければなりません。
この記事では、円滑なオフィス移転の実現に向けて、各種手続きや届け出、手続き上の注意点を解説します。
オフィス移転を検討している企業様は参考にしてみてください。
オフィス移転の計画と準備とは?スムーズに進めるためのステップ
オフィス移転は、企業にとって単なる物理的な移動だけではなく、
働く環境や業務の効率に大きな影響を与える重要なプロジェクトです。
しっかりとした計画と準備ができていないと、移転後にトラブルや混乱が発生する可能性があります。
ここでは、スムーズにオフィス移転を進めるための具体的なステップについて説明します。
移転の目的をしっかりと定める
オフィス移転の準備を始める前に、まず移転の目的をはっきりさせることが大切です。
例えば、以下のような目的が考えられます。
・業務効率の向上
・オフィスのスペック改善による採用力強化
・従業員数の増加に伴うオフィス拡張
・勤務体系がの変化による面積の最適化
これらの目的を明確にすることで、移転後にどのような成果を期待するかがわかり、
移転に向けた具体的な準備が進めやすくなります。
プロジェクトチームの結成と役割分担
次に、オフィス移転プロジェクトのチームを編成します。
総務だけで抱え込まず、トップを巻き込んだ事務局を作成し、スタートを切ることが大切です。
またオフィスの移転は大きな会社だとトップシークレットなので、秘密裏に進める必要があります。
この段階は代表と役員総務数名の限られたメンバーで、まず要件を固めましょう。
この段階でオフィスのプロを外部から入れておくと、
最新のオフィスの事情がわかり、その後の運用もスムーズになるのでおすすめです。
コミュニケーションプランの策定
移転が決まった時点で、社内外への情報共有をスムーズに行うためのコミュニケーションプランを策定しましょう。
特に、従業員への周知は重要です。
新しいオフィスのレイアウトや設備、通勤方法、引越しに伴う一時的な業務の停止など、
移転に関する情報を的確に伝えることで、従業員の不安を軽減できます。
外部に対しても、取引先や顧客に対して移転日や新しい連絡先を早めに通知することが重要です。
これにより、業務の継続性が確保され、ビジネスに与える影響を最小限に抑えることができます。
IT環境の準備
オフィス移転において、IT環境の整備は重要なポイントです。
インターネット回線や社内ネットワークの移設、サーバーやセキュリティシステムの再設定は、
業務の中断を防ぐために迅速かつ確実に行う必要があります。
IT関連のトラブルは、業務全体に大きな影響を与えるため、IT部門と連携して計画的に準備を進めましょう。
また、テレワークを導入している企業であれば、
新オフィスでのネットワーク環境がテレワークにも対応できるよう整備することが必要です。
オフィスデザインとレイアウトの検討
新しいオフィスのレイアウトやデザインも、移転準備における重要な要素です。
オフィスの配置が業務効率に与える影響は大きいため、業務フローに適したデザインを考えることが求められます。
例えば、部門ごとのコミュニケーションを促進するオープンスペースの配置や、
個人作業に集中できる個別ブースの設置など、業務内容に応じたレイアウトを検討することが必要です。
また、近年では健康的な職場環境を重視する企業も増えており、
自然光の取り入れや休憩スペースの設置など、従業員のウェルビーイングを向上させるデザインも注目されています。
オフィス移転を成功させるためには、目的を明確にし、計画的に準備を進めることが不可欠です。
プロジェクトチームの結成、IT環境やオフィスレイアウトの整備、従業員や外部への適切なコミュニケーションなど、
各ステップを確実にこなすことで、移転後の業務をスムーズに開始できます。
計画段階からの細やかな準備が、移転成功のカギとなります。
オフィス移転に必要な手続き
オフィス移転は各機関への手続きが必要です。
手続きに漏れがあった場合、移転作業は中断し、通常業務に影響します。
ここでは、オフィス移転に必要な各種手続きを解説します。
●労働基準監督署
従業員がいる会社は労働保険の加入が義務付けられています。
会社移転に伴い、労働基準監督署にて変更のあった日の翌日から起算して
10日以内に「労働保険名称・所在地等変更届」の提出が必要です。
ほかにも、労働基準法、安全衛生法に関するものなどが必要に応じて提出します。
●法務局
本社を移転する際、法務局にて移転登記の手続きが必要です。
しかし、旧オフィス都心オフィスの法務局管轄エリアによって申請書類や申請場所が異なります。
以下に移転登記の必要書類等をまとめました。以下の表を参考に移転登記を行ってみてください。
移転登記に必要な書類
必要な書類 | 申請場所 | |
同じ法務局の管轄内で移転する場合 | ・本店移転登記申請書 ・株主総会議事録 ・株主リスト ・取締役会議事録 |
旧オフィス所在地の管轄法務局 |
異なる法務局の管轄に移転する場合 | ・本店移転登記申請書(旧法務局提出分) ・本店移転登記申請書(新法務局提出分) ・株主総会議事録 ・株主リスト ・取締役会議事録 ・印鑑届書 |
旧オフィス所在地の管轄法務局 |
●税務署
会社移転をする際は、所轄の税務署で法人税と従業員の所得税の徴収を確定させるための手続きが必要です。
主な手続きは「異動届書」と「給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出書」の2種類があります。
それぞれ提出期限が決められているためご注意ください。
●異動届出書:移転後すぐの提出
●給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出書:移転後1ヶ月以内
●年金事務所
年金事務所では、健康保険や厚生年金保険の変更手続きを行います。
移転後5日以内に変更前の事業所の所在地を管轄する年金事務所へ「適用事業所所在地・ 名称変更届」の提出が必要です。
●ハローワーク
労働保険に加入している会社は、労働基準監督署のほか、
移転先のオフィスを管轄するハローワークへ「雇用保険事業主事業所各種変更届」を提出する必要があります。
また、変更のあった日の翌日から起算して10日以内にハローワークの窓口へ提出するか、
電子申請にて提出しなければなりません。
●都道府県税事務所
移転登記をした場合、都道府県税事務所にて「異動届出書」「法人異動事項申告書」のいずれかを
提出する必要があります。しかし、移転先が同じ都道府県かどうかで提出先が異なるため注意が必要です。
移転登記に必要な書類
移転先が同じ都道府県の場合 | 移転後の都道府県税事務所に提出 |
移転先が他の都道府県の場合 | 移転前・移転後両方の都道府県税事務所に提出が必要 |
●警察署
社用車がある場合、管轄の警察署へ手続きが必要です。
主な手続きは「自動車保管場所証明書(車庫証明書)」が挙げられます。
明確な期限は設けられていませんが、移転後すみやかに行うことが大切です。
●消防署
オフィスを移転する際は、消防署へ「防火対象物使用開始届出書」と「防火対象物工事等計画届出書」の届け出が必要です。
この手続きは、オフィス移転の7日前までに行わなければなりません。
また、社員数が50名以上の事業者は、別途「防火・防災管理者選任(解任)届出書」の提出も必要です。
●郵便局
移転先オフィスに郵便物が届くように、郵便局で転居届を行う必要があります。
重要な書類が届かず事業運営に影響をもたらす可能性があるため、引越し前に済ませておくと安心です。
オフィス移転に必要な届け出
オフィス移転は各機関への手続きのほか、必要な届け出があります。
オフィスを移転する際は、以下の届け出を忘れないように注意が必要です。
(1)オフィスの解約
移転に伴い、現在のオフィスを使わなくなる場合、オフィスの解約通知を行う必要があります。
オフィスの解約は、解約の6か月前までに通知するのが一般的です。
しかし、解約手続きは賃貸契約や不動産管理会社の規定によって異なります。
そのため、解約通知の前に契約書類の確認が必要です。
(2)インターネットや電話回線の移転手続き
オフィスを移転する際には、インターネットや電話回線の移転手続きが不可欠です。
これらの手続きは、ビジネスの運営に直結し、オフィスの移転が確定次第すみやかに行う必要があります。
仮に通信手段の移転に遅れが生じると、業務への影響が出る可能性があります。
移転後の業務をスムーズに開始するためにも、プロバイダーやセキュリティ会社と連携を図りながら、
計画的かつ効率的な移転作業を行うことが重要です。
(3)口座やクレジットカードの登録変更届け
オフィス移転をする際には、銀行口座やクレジットカードの登録情報を新しい住所に変更することが欠かせません。
これにより、重要な請求書や通知が正確な宛先に届き、業務に支障が出ないようにします。
そのため、移転が確定次第すみやかに銀行やクレジットカード会社に連絡し、
登録情報の変更手続きを行うことが大切です。
(4)取引先への移転報告
オフィスを移転する場合、取引先に住所変更の報告が必要です。
移転の詳細や新しい連絡先を通知することは、今後の事業運営はもちろん、
取引先との信頼関係を維持するうえで欠かすことができません。
具体的には、移転の日程や影響を最小限に抑えるための対策、
さらに取引の継続を確保するための努力を伝えることが必要です。
これにより、スムーズな移行と円滑なビジネスパートナーシップの維持が期待できます。
オフィス移転の手続きに関する注意点
オフィス移転の手続きをする際は、注意すべきことがあります。
以下の注意点に気をつけて移転手続きを進めることが重要です。
(1)各種手続きには期限がある
オフィス移転の各種手続きには期限が設けられています。
とくに各機関へ提出する書類は、提出期限が異なります。
期限内に手続きを行わなければ、移転先での業務に影響を及ぼす可能性があるため、
移転に関わる手続きの期限を把握し、計画的に進めることが重要です。
(2)業務負担になる可能性がある
オフィス移転は、業務負担になる可能性があります。
移転準備や手続き、物品の梱包や運搬、そして新オフィスの整備など、多くの作業が必要です。
これにより、従業員の業務効率が一時的に低下したり、作業時間が増加したりする場合があります。
そのため、オフィス移転をする際は計画的な移転作業と従業員へのサポートはもちろん、
オフィス移転の専門家へ依頼をすることで業務への影響を最小限に抑えることができます。
まとめ
今回は、オフィス移転に関する各種手続きや注意点を中心に解説してきました。
オフィス移転は、各機関はもちろん、取引先やプロバイダーなど、業務を遂行するうえでの重要な届け出が多数あります。
移転先での業務をスムーズに開始するためにも、移転計画の際に必要な手続きをピックアップし、
漏れがないように注意することが大切です。
当社は、オフィス移転の専門家として、物件の選定はもちろん、
デザイン会社の選定や移転におけるコストコントロール、その他派生業務までサポートいたします。
お気軽にご相談ください。
Operating Company
- 執筆者
-
スターツコーポレートサービス株式会社 COPPO!編集部
当社の特徴-
①法人さまごとの専任体制でお客様の課題をワンストップで解決
②社宅代行約450社・約12万件、継続20年以上、寮・社宅のプロ
③80社を超えるグループ会社と国内約3000社の提携不動産会社、
海外では21カ国・30拠点以上の日経不動産会社最大級のネットワーク
法人向け不動産サービスを中心に、スターツグループのコンテンツと
独自のネットワークを最大限活用し、様々な経営課題を共に解決します
当社のサービス:社宅代行・社員寮紹介、オフィス移転、不動産売買
-
カテゴリ:
- オフィス改善のコツ
-
タグ:
まずは、お気軽に今のお困りごとを
お聞かせください。
スターツコーポレートサービスでは寮・社宅に関するどんな小さなお悩みでもお受けします。
長年培った寮・社宅業務のノウハウを駆使して、法人様に合った解決方法をご提案しますので、まずはご相談ください。