2024.01.23

徹底解説!大企業ほど借り上げ社宅が必要な秘密とは?

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借り上げ社宅制度は、制度によっては社員の手取りが100万円以上変わることもあり、最もコスパの良い福利厚生とも呼ばれています。
その制度がなぜ大企業にメリットが大きいか大企業の特権と呼ばれているかを解説していきます。

社宅比較

借り上げ社宅とは?

借り上げ社宅は、会社が賃貸借契約をした外部物件を社員に社宅として提供する福利厚生のひとつです。
近年、企業の福利厚生を重視して就業先を選ぶ傾向が強く、
借り上げ社宅を導入することによって採用活動を有利に進められる利点があります。

借り上げ社宅制度が、新卒採用に効果を発揮する理由

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参照:2023年卒大学生就職意識調査



コロナ後、就職先を選定する際に企業の安定性が更に重要視されるようになりました。
このグラフはマイナビ 2023年卒大学生就職意識調査より抜粋したものです。
企業を選ぶ基準に「安定している会社」が急上昇しており、比率も最も高くなっています。
安定性があるかどうか?の基準に関してもアンケートが取られているのですが、

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参照:2023年卒大学生就職意識調査



・福利厚生が充実している
・安心して働ける環境である

上記2点が重要視されていることがわかります。
特に、安全性の面で、“福利厚生“が最重要視される傾向にあります。

古くからある制度ですが、社宅制度の有無はハード・ソフト両面でこの点に貢献できる制度です。
そういった背景から新卒採用強化のために社宅制度がさらに注目を集めています。

大企業が借り上げ社宅制度を導入するメリット

企業が借り上げ社宅を導入するメリットは以下の通りです。
福利厚生の充実に向けて、借り上げ社宅や住宅手当など、
どのような形で社員へ住宅の補助をするかで検討している方は参考にしてみてください。

(1)社員数が多いほど、コストメリットが大きい

借り上げ社宅制度全般に言えることですが、家賃負担は税法上の所得に該当しないため、企業にも社員にもコスト面でメリットがあります。
社宅で会社が負担する賃料と社員負担の使用料の差額は福利厚生費として経費に計上できるためです。
当然社員が多ければ多いほど、このメリットは大きくなります。

借り上げ社宅制度は社宅規程の整備が必須になり、それに加えて、契約手続きや管理の業務も発生するため、
専門の部署や社員を雇用する必要がありますが、社員数が多い大企業ほど、この人件費を上回るメリットが出やすいです。

(2)社宅業務をアウトソーシングしやすい

社宅関連業務は専門性が高く、自社のコア業務ではないため、外部にアウトソーシングする企業が増えてきています。
しかし委託費用も固定費が含まれているため、管理戸数がある程度ないと内製化したほうが安く済むことも。
1,000戸以上管理戸数があれば、アウトソーサーの選択肢も増え、十分コストメリットを享受することができます。

(3)全国転勤者への負担軽減につながる

業種にもよりますが、社員数が多い大企業ほど、営業拠点が全国にあり、定期的な人事異動が発生する場合が多いです。
借り上げ社宅制度がないと、異動のたびに物件探しから個人契約手続きの手間、入居審査も必要、
更に契約金等の高額な費用の立替えが発生するため、企業都合で異動となったにもかかわらず、
転勤者にとって様々な負担が発生してしまう事が問題です。

しかし、借り上げ社宅制度を導入することで、新居は企業が借主となった賃貸借契約になるため、
転勤者の手間、や金銭的負担を軽減する効果が期待できます。

事例:大手企業が住宅手当から借り上げ社宅に移行したケース

テレワークが定着し、どこでも働けるようになったので、平等性の観点から住宅手当を導入している企業様も多いかと思います。
しかし、自社の業態に合わず借り上げ社宅に切り替えた企業もあります。
なぜ借り上げ社宅に切り替えたか?その実例をお話します。

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小売業A社
業務削減と社員満足度の向上のため、住宅手当を付与し、手当対象かどうかを人事部で確認する運用にしているのですが、
全国転勤が多い企業だったため、以下の問題が発生しました。

・転勤時の一時金で税負担が増加
会社都合の異動の場合、賃貸借契約は個人契約とし、引越費用、礼金、敷金を一時的に社員に立替えてもらい、
その後会社が補填する運用にしていました。
異動が多い時期は引越費用が高額になるので、補填費用を支給することで総額50万程になり所得が大幅に増加。
引越しでかかった費用の支給額に対し課税もされてしまうため、社員から不満が続出しました。

・高額な転勤時の一時金を支払えない社員が発生
上記の高額な一時金を立替える必要があるため、若い社員がこの費用を支払えないというケースが発生。
生活を圧迫するという理由からの不満も多く発生しました。
一部では入居の際に必要な審査で落ちてしまう社員も発生。
転勤できないという事態まで起きてしまいました。

・手当対象の社員かどうか確認する手間で、業務負担が削減できない
業務削減のため、住宅手当制度に切り替えたにもかかわらず、実際に賃貸物件に住んでおり、
社員名義で契約している場合にのみ住宅手当の対象としたことで、
賃貸借契約書の内容確認、更には毎年賃貸契約が継続されているかの確認まで事務として発生。
住宅手当支給の対象者かどうかの確認作業がなくならず、想定していたより業務が削減できなかった。

この結果、業務削減にもならず、社員満足度が下がるという結果になり、
住宅手当をとりやめ借り上げ社宅制度にA株式会社は切り替えることになりました。
一概に借り上げ社宅が良いということではありませんが、
業種業態に合わせた制度を導入しないと上記のようなミスマッチが発生します。

福利厚生社宅と転勤者用社宅の違い

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社宅にも目的が2種類あります。
社員のニーズの多様化により福利厚生寮・社宅は手放す企業もいますが、転勤が多い場合社宅がないと上記リスクが発生します。
自社が使っている社宅はどういった目的で導入しているかを正しく見極めるようにしましょう。

大手企業ほど借り上げ社宅が必要な秘密!まとめ

大企業にとって借り上げ社宅制度が必要な理由は以下3点です。

・社員数が多いほど、コストメリットが大きい
・アウトソーシングしやすい
・全国転勤者の負担を軽減することが出来る


借り上げ社宅の導入を検討している場合は、制度の内容をよく理解し、
類似した制度の「住宅手当」等と比較しながら自社の業態に合わせて最適な方法を選ぶことが大切です。

とはいえ、事業も今までと比べ複雑化してきていて、社員のニーズも多様化して来ているのも現実です。
自社にあった運用がわからない…そういったお悩みもあるかと思います。

当社は20年以上前から社宅管理業務を続け、12万戸以上の寮・社宅を管理しており、
寮・社宅のプロとして企業の福利厚生を数多くサポートしています。
御社にあった最適な運用をご提案しますので、お気軽にご相談ください。





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Writer's Profile

執筆者
スターツコーポレートサービス株式会社
辻 広大(つじ こうだい)

経歴

早稲田大学卒業後、スターツグループに入社。新卒から大手企業の人事・総務部のコンサルティング業務を経験。2014年より経営企画として、評価制度の設計、営業組織の強化のためのセールスイネーブルメントなど、若手社員の育成に従事。2022年より企業の寮・社宅に関わるセミナーを実施し、社員満足度を向上させるコツを伝えている。 宅地建物取引士。

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