2024.03.21

自社ビルが企業にもたらす価値と変化

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自社ビルについて

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自社ビルとは、企業が自ら購入・保有するオフィスや店舗ビルのことです。
財務諸表上、自社ビルは固定資産になります。
自社ビルを持つには、中古や新築ですでに建設されているものを購入する方法と、
空いている土地を用意して新たに建築する方法の二通りがあります。

近年は、経費を抑えるために、売上が拡大しても自社ビルを持たず賃貸オフィスを活用し続ける企業もあります。
自社ビルを持つか持たないかの判断は、中長期的な経営計画に大きく影響します。
そのため、メリット・デメリットや自社の状況を踏まえたうえで、慎重に判断する必要があります。

自社ビルと賃貸ビルの違い

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企業がオフィスを選ぶ際に、最も重要な決定の一つは「自社ビルを所有するか、賃貸ビルを借りるか」です。
どちらもそれぞれのメリットとデメリットがあり、経営方針や将来のビジョンによって選択が異なります。
ここでは、自社ビルと賃貸ビルの違いについて詳しく解説します。

資産形成の違い
自社ビルは企業の資産として、長期的な価値を形成することが可能です。
購入や建設にかかる費用は高額ですが、資産として残るため、将来的に売却や賃貸により収益を得ることもできます。
一方、賃貸ビルは借りているだけなので、毎月の支払いは費用として計上され、企業の資産形成にはつながりません。

・自社ビル: 長期的に資産として企業に残り、売却や賃貸による収益を見込めます。
また、固定資産としての価値が企業のバランスシートに反映され、財務的な安定感をもたらします。
・賃貸ビル: 賃貸費用は全て経費として扱われ、資産として残りません。
これは賃貸の柔軟さと引き換えに失うポイントですが、資産管理の負担が軽減される利点もあります。

経営の自由度の違い
経営の自由度やオフィスの運用面でも、自社ビルと賃貸ビルでは大きな違いがあります。
自社ビルは、建物の設計やレイアウトを自由に変更でき、会社のブランドイメージに沿ったカスタマイズが可能です。
一方で、賃貸ビルは契約条件に制約があり、大きな改装や変更を行う際には許可が必要となることが一般的です。

・自社ビル: 自由にオフィス環境を変更できるため、社内文化に合った空間を作りやすく、
社員の働きやすさを追求することが可能です。
また、社屋のデザインを通じて、企業のブランドイメージを強調することもできます。
・賃貸ビル:改装やレイアウト変更に制限があるため、建物に手を加える場合はオーナーの承認が必要になります。
そのため、経営の方針転換に迅速に対応する柔軟性に限界があります。

維持管理の違い
ビルの維持管理に関しても、自社ビルと賃貸ビルでは違いがあります。
自社ビルは全ての維持管理を企業が負担しなければならないため、修繕費やメンテナンスコストが発生します。
しかし、建物の状態を常に把握できる点では安心感があります。
一方、賃貸ビルの場合、通常はオーナーが維持管理を担当するため、企業側の負担は少なくなります。

・自社ビル: 修繕やメンテナンス費用が定期的に発生しますが、建物の管理や改善に関する全ての決定権が企業側にあります。
建物の老朽化対策や設備更新の計画を立てることも自由です。
・賃貸ビル: 管理コストはオーナーが負担するケースが多いため、企業にとっては手間が少ないです。
ただし、オーナーの意向によっては修繕のタイミングが企業の希望通りにいかないこともあります。

長期的なリスクの違い
自社ビルと賃貸ビルには、それぞれ異なるリスクが伴います。
自社ビルを所有する場合、土地や建物の価値が経済情勢によって変動し、価値が下落するリスクがあります。
一方、賃貸ビルでは賃料がインフレや市場の変動によって変動するリスクがあります。

・自社ビル: 経済状況や不動産市場の影響で、建物や土地の価値が下がることがあります。
特に、都市開発や周辺環境の変化によって、当初の資産価値が大きく減少する可能性もあります。
・賃貸ビル: 賃料が市場動向に左右されるため、長期的に見ればコストが変動するリスクがあります。
また、契約更新時に賃料が上がるケースや、最悪の場合、契約が終了して移転を余儀なくされる可能性もあります。

自社ビルと賃貸ビルには、それぞれ異なるメリットとデメリットが存在します。
企業の成長戦略やリスク管理を考慮し、どちらが適しているかを慎重に判断することが重要です。

自社ビルがもたらす価値とメリット

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企業の費用で取得する自社ビルは、ある程度企業が成熟してから購入するケースが多く、
そのメリットは多方面に及びます。
特にブランドの確立や経済面に対する恩恵は大きなものがあり、
その価値は企業がより大きく成長する上で重要なファクターになっています。


自社ビルを持つことで得られるメリット
自社ビルの保有は財政面において影響をもたらします。固定資産税などのコストは掛かるものの、
オフィスビルの賃料が無くなり、インフレなどで賃料の値上げされるリスクも自社ビルを保有することで回避できます。
また現物資産なので、不要になった際は売却して現金化することが可能なほか、
賃貸オフィスとして活用すれば賃料収入が得られるので緊急時の収益源になり得ます。


財政面以外のメリット
不動産を所有していれば固定資産税や建物の管理費用、保険料など不動産を所有する上で多くのコストが発生しますが、
自社ビルは現物資産としての価値はもちろんのこと、企業の信用力を高め、社員の帰属意識を強化する効果もあります。
自社ビルを所有するためには、ある程度の財務基盤がある必要があります。
自社ビルを所有していれば、財務基盤が安定していると見られ、社会的な信用力が向上し、
ビジネスチャンスにつながる可能性があります。

また、自社ビルは設備や間取りなどを自由に変更できるので、自社の働き方に応じてカスタマイズすることが可能です。
企業にあった働きやすい職場を提供することで社員のエンゲージメント向上にも繋がります。

自社ビルの問題点やデメリット

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自社ビルは企業にとって多くのメリットをもたらせてくれますが、
その反面、現物資産を持つことによる問題点やデメリットも発生してしまいます。

多くの企業はその問題点やデメリットを上回るような利益やメリットを想定して、自社ビルを持つ選択を決断するのですが、
そもそも自社ビルを持つデメリットをきちんと把握していないと、思わぬ形で企業に損失を与えてしまう可能性があります。


自社ビルを持つことのデメリット
自社ビルを保有することのデメリットとしては、大きな初期投資が必要であること、
定期的な修繕費やメンテナンスコストがかかること、自然災害のリスクがあることなどが挙げられます。
中古のビルを買い取るか、新しくビルを建設するかで初期費用は大きく変わりますが、
多くの場合、自社ビルを作ること自体が企業にとって莫大な費用をかけた一大プロジェクトであり、
まとまった資金を捻出するのにローンを組むこともあります。

また自社ビルを所有した後も、固定資産税や維持費など継続的に費用が発生するので
企業の継続的な経済力が必要になります。


土地の価値も加味しなければならない
自社ビルは現物資産のため、売却して資金に変えることができるのも大きな魅力ではありますが、
その売却額は建物だけでなく立地や土地の広さも大きく関わってきます。
土地の価値をしっかりと吟味しないと、たとえ自社ビルを建設した当初は一等地だったとしても、
時がたつにつれ周囲の環境が変化し、売却時には土地の価値が減少し、買い手すら見つからないということさえあります。

建物の状態に気を使うだけでなく、土地の価値にきちんと見通しを通さなければ、
従来想定していたメリットを享受できない可能性があります。

リモートワークによる自社ビルの変化

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コロナウイルスが流行した影響で働き方が大きく変わり、
それに伴って各企業の自社ビルを保有することに対する認識が大きく変わりました。

具体的な例として、2021年中に約90の上場企業が自社ビルを売却しており、
中小企業にもその流れが広がりつつあります。
その売却する流れの大きな要因として、家でも仕事をすることができるテレワークの普及が上げられ、
これから自社ビルを持つ決断をする際には無視できない要素になりつつあります。


オフィスの使い方や在り方の変化
リモートワークの導入により働き方に多様性が生まれ、生産性を求める企業が増えてきています。
これにより単純な面積削減では無く、使い方やあり方を見直して面積を再定義する必要性が高まってきました。
面積を削減した会社は利用しないスペースを貸し出したり、面積を増やす傾向の企業は単純な増床ではなく、
新しい働き方に向き合いながら、出社したくなる•集まりたくなるオフィス構築の実現を目指し、
デザインや福利厚生の見直し(食堂やカフェの新設等)を行っています。

自社ビルのオフィスデザインの在り方は、スペースの使い方の変化とともに変わりつつあります。


自社ビルにおけるオフィスデザインの役割
リモートワークが普及する中で、自社ビルのオフィスはコラボレーションや
チームワークを促進する場としての価値が求められつつあります。
そのため会議室や共有スペースの拡充、リラックスできる休憩スペースの設置など、
ただ働く場としてだけでなくコニュニティーを形成できる場としての仕掛けや付加価値が自社ビルのトレンドになりつつあります。

さらに、サスティナビリティへの対応やBCP対応がより重視されるようになり
「社会的な企業としての役割」「オフィスで働く社員に対する健康や安全への配慮」も自社ビルを保有する上で
意識しなければならない項目になっています。

まとめ

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この記事では自社ビルのもたらす価値や、
メリット・デメリット、そしてリモートワーク普及後の自社ビルのトレンドについてご説明してきました。
自社ビルを保有することは企業にとって一大プロジェクトになるかと思います。

当社は不動産事業を50年以上手掛け、あらゆるネットワークから当社は
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執筆者
スターツコーポレートサービス株式会社 COPPO!編集部

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